今週のお題「手づくり」
20代はバンド活動に明け暮れた。
相棒のギタリストが作ったリフに、メロディラインと歌詞をつける。
つまりボーカルパート全般の制作を担当していた。そしてステージで歌うところまで。
譜面を読めないので、カセットテープでリフを流し続ける。
適当に、はなうたを口ずさみ、リフにのせる。 何十回、何百回とくりかえす。ひたすらくりかえす。
そしてその瞬間がやってくる。
はなうたとリフがピタリとかさなり、メロディになるその一瞬が。
メロディラインがきまれば、そのメロディに歌詞をのせる作業だ。
語りたいほどの思いもない。たいした人生経験も恋愛経験もない。凡人にひとの心を震えさせる歌詞は作れない。
ビートルズ、ストーンズ、ボブ·ディラン、ジミ・ヘンドリックス、お気に入りの歌詞を拝借する。
よくいえばオマージュ、悪くいえばコピーだ。
こうして30ものロックを作り、鳴かず飛ばずの5年間の活動の後、バンドは解散した。
当時は、インターネットもない時代。音源を発表する場は限られていた。
手元には、ライブで録音したカセットテープが残ってるだけだ。
30年も前に、この自分が大勢の前でステージに立ち、自作の曲を歌っていたなんて。ほんまか?
いまも音楽でメシを食う相棒に、電話して
確かめてみることにしよう。